神戸地方裁判所 昭和61年(わ)1052号 判決 1988年2月25日
本籍
兵庫県姫路市白濱町丙二八一番地
住居
大阪府堺市東浅香山町二丁八〇番地
会社役員
三木興一
昭和九年二月二〇日生
本籍
福岡県北九州市門司区東本町一丁目五番地の一
住居
大阪府堺市引野町三丁一番地 初芝グリーンハイツ一〇八号
団体役員
石橋正昭
昭和二〇年八月一一日生
右両名に対する各所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官高田明夫出席のうえ、審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人三木興一を懲役六月及び罰金一六〇万円に、被告人石橋正昭を懲役八月及び罰金二〇〇万円に処する。
被告人らがその罰金を完納することのできないときは金二〇、〇〇〇円をそれぞれ一日に換算した期間その被告人を労役場に留置する。
被告人両名に対し、本裁判確定の日から三年間それぞれその懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人三木興一及び同石橋正昭は、分離公判前の相被告人西垣外淑子、同石田吉信、同内田学及び右西垣外の夫である西垣外秀雄と共謀の上、同人が所有する大阪府堺市丈六一九〇番地一所在の宅地約一一八九平方メートルを昭和五八年九月一六日に三億五〇〇〇万円で売却譲渡したことに関して、右譲渡にかかる所得税を免れようと企て、同人の実際の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は二億六四五〇万九七三二円、総合課税の不動産所得金額は二六二万五五一九円で、これに対する所得税額は八五四〇万一〇〇〇円にであるにもかかわらず、右石田が代表取締役をしている株式会社マウント開発が全日本同和会和歌山県連合会から二億二〇〇〇万円の借入れをし、その債務について、右西垣外秀雄が連帯保証人となり、右連帯保証債務を履行するために右不動産を譲渡し、その譲渡収入で右日本同和会和歌山県連合会に対し同年一二月二五日に二億二〇〇〇万円を支払ったが、右マウント開発に対する求償不能により同額の損害を被った旨仮装するなどし、同五九年三月一四日、同市南瓦町二番二〇号所在の堺税務署において、同税務署長を介して、所得富田林税務署長に対し、右西垣外秀雄の五八年分分離課税の長期譲渡所得金額は五九五〇万一五一二円、総合課税の不動産所得金額は二六二万五五一九円で、これに対する所得税額は一三一四万九九〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右の正規の所得税額八五四〇万一〇〇〇円との差額七二二五万一一〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人三木及び同石橋の当公判廷における各供述
一 第一回公判調書中の被告人三木及び同石橋の各供述部分
一 被告人三木(五通)及び同石橋(三通)の検察官に対する各供述調書
一 分離公判前の相被告人西垣外淑子(六通)、同石田(昭和六一年一〇月二九日付、同年一一月五日付、同月六日付、同月七日付、同月八日付、同月一二日付)及び同内田学の検察官に対する各供述調書
一 証人西垣外秀雄及び同西野明子の当公判廷における各供述
一 西垣外秀雄、松木敏雄(四通)、片山改作及び久次米昭(同月一一日付)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の同月一九日付脱税額計算書
一 大蔵事務官作成の同月一四日付証明書
一 大蔵事務官作成の同月三日付、同月四日付、同月五日付、同月六日付(二通)、同月八日付及び同月一二日
付各査察官調書
(法令の適用)
一 判示所為 いずれも刑法六五条一項、六〇条、所得税法二三八条
一 刑の選択 いずれも懲役刑と罰金刑の併科
一 執行猶予(被告人両名について懲役刑につき)
刑法二五条一項
一 労役場留置(被告人両名につき)
刑法一八条
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 東尾龍一)